山形県寒河江市(さがえし)の中心部から西へクルマで45分。高さ日本一の大噴水があることで有名な寒河江ダム(月山湖)に突撃してきました。
いつかは行きたい! 行かなければならない!
テレビやネットニュースで月山湖が取り上げられるたびに思いをつのらせてきましたが、仕事で山形県を訪れる機会を得た2017年8月、ついに大噴水と対面することができました。
月山湖を見下ろす「寒河江ダム展望広場」
乗用車×50台ほどの駐車場あり
寒河江ダム展望広場への入口・国道112号線沿いです
わかりやすい看板が目印
この日の最高気温は30℃、湿度が高く、風も弱め。ちょっと歩いただけで汗がじわりと浮き出てきてしまうような、8月らしい暑さを感じながらの訪問となりました。
寒河江ダムの完成により誕生した月山湖(がっさんこ)を見下ろす絶好の位置に展望広場があり、駐車場や売店、レストハウスなどが整備されています。
駐車場はクルマ50台分ぐらいのスペース。とくにイベントでも開催されていない限りはスペースに余裕がありそうです。
1990年(平成2年)に誕生した月山湖が眼下に広がります。ここから30㎞ほど離れたところにある「あさひ月山湖(月山ダム)」と混同しないよう注意。
それでは駐車場にクルマを置き、ダムカードをもらいに行きましょう。
ダムカード配布場所は「最上川ダム統合管理事務所」
ダムカードを配布しているのは展望広場のすぐとなりに建っている「最上川ダム統合管理事務所」。
ここ「寒河江ダム(平成2年完成)」のほか「白川ダム(昭和56年完成)」「長井ダム(平成23年完成)」を含む合計3つのダムをまとめて統括しているからでしょうか、建物の風格が違います。ご立派!
壁が「赤レンガ調タイル張り」の最上川ダム統合管理事務所
この「ダムカードあり〼」のポスターが視界に入るとホッとしますね。
カード配布時間は9:00~17:00(土日・祝日を含む)
正面玄関です
ダムカード配布時間等についての案内
入って右側の窓口でダムカードを配布していると書いてありますが窓口はカーテンが閉まっていて人の気配がありません。きょうは平日ですし、2階に上がって総務課を探すことになりますね。土日・祝日はインターホンでお願いするおなじみのパターンです。
建物の1階フロアには羽越水害や治水事業に関する展示コーナーがあり、自由に見学できます。
さらに、ダム湖周辺に生息している昆虫や両生類などを紹介しているコーナーもあります(=ダムが建設されたあとも多様な自然環境が維持されていることをアピール)。
ボタンを押すと対応箇所が光るジオラマ。昭和の香り漂う技術レベルで作られています。
ロックフィル堤体の見えない部分(上流側の水に沈んでいる部分)の形状が必ずしもスッキリしていないことや、水に沈む前の川筋などがよく分かっていい感じですよ。
寒河江ダムのダムカードを入手
事務所2階の総務課へ
いろいろな展示物に目を奪われつつ、ようやくカード配布場所である管理事務所2階の総務課にたどりつきました。観光客に対応する窓口じゃないのでカードを受け取った瞬間の写真は撮りませんでしたが、無事にカードをゲット。にこやかに対応してくれた職員の方、ありがとうございます。
ロックフィルの堤体と放流ゲートの間に天然の山が取り残されているような面白い構造。
【F】…洪水調節
【N】…河川環境の保全
【A】…農業用水の供給
【W】…水道用水の供給
【P】…水力発電の実施
「112」にこだわりまくったスペック
この寒河江ダムは「112」という数字にこだわっています。
・国道112号線沿いに建設
・堤高112m
・大噴水の吹き上げ高が112m
・ダム竣工式典の日時が11月2日の11時20分(国土交通省の公的な文書に載っています)
「沈んだ家屋が112戸」ってのだけ、ちょっと引っかかりますけどね。戸数をカウントするときに、なんらかの忖度(そんたく)が働いた可能性があるようなないような。まあ、仮に忖度があったとしても誰ひとり不幸になりません。華麗にスルーでオッケーです。
展望広場~ダムサイトを散策
ナゾのキャラクターが現れる
管理事務所のすぐ横、月山湖を見下ろす位置に、いきなり現れます。
これ、ベースになってる動物は何?
カワウソ?
オコジョ?
ここでは答えが出ませんでした。
なぞキャラ越しに見るダム堤体と選択取水塔
あれ?
よく見たら、しっぽの先っちょに色がついてるからオコジョの可能性が高いかも。
この場所で「ナゾのキャラに踏みつけられるオレ」みたいな面白写真を撮った人が、少なからずいるんじゃないでしょうか。
ちなみにキャラの着衣のボタン部分がさりげなく「押しボタン」になっていて、押すと月山湖についての音声解説が流れ始めます。
周りに誰もいないときに一人でボタンを押すと、孤独感がより深まります。ゼヒお試しあれ。
フラッシュ放流の案内がありました
【フラッシュ放流とは】
寒河江ダムでは、ダムから下流の水ヶ瀞ダム( 東北電力(株) )までの約5km区間において、河川に堆積した泥や浮遊藻類を流掃し、河川環境の改善を目的に、平成9年度から試行及び試験を行い、平成20年度からフラッシュ放流を行っています。
川を流れる水の量の変化が少ない状態が長い時間続くと「よどみ」が発生し、河床(川底)に藻類の繁殖や汚れなどがついたままとなったりします。 これは、環境·景観に対して好ましくありません。ダムで貯めている水を定期的に放流することによって、 “よどみ” の発生を抑え河川をリフレッシュする効果があります。
寒河江ダムでは、フラッシュ放流を洪水期(6/16~10/10)において、基本的に毎週木曜日9時40分から放流し、今年度は17回の放流を計画しているそうです。
ダムによっては観光客のためにサービスで放流ゲートを開く場合もありますが、ここでは川のよどみを取り除くためというハッキリとした目的があるようです。
今回はタイミングが合わなくて残念でした。
ダム堤体に近づいてみる
寒河江ダムはコンクリートではなく岩石や土砂を積み上げて堤体を作る「ロックフィル」の型式に分類されています。
堤体に引かれている水色の水平線は、おそらくサーチャージ水位でしょうね。違ってたらごめんなさい。
【サーチャージ水位とは】
洪水時など、貯水池に一時的に貯めることが出来る最高の水位。これを上回る水位のときは異常事態発生中。
管理事務所の公式サイトによると放流設備部分のスペックは
・クレストフラップゲート×4門
・オリフィスゲート×2門
・放流バルブ×3門
できることなら、さらに前進してダム堤体を間近で見たかったのですが。
暑すぎて具合が悪くなってきたので堤体までは行かず、おそらくクーラーが効いているであろう休憩施設のほうに移動することにしました。
ミニ水族館もある「月山湖・水の文化館」
いま空腹でないことを激しく後悔
ダムカレーの存在をすっかり忘れてました。痛恨のミス。
ここに来る直前、寒河江市のコンビニで、よりによって何の特徴もご当地感もないフツーの塩やきそばをのんきに食べてきてしまったんです。
残念ながら今は1ミリもおなかがすいていません。なにをやってるんだ。
その後、寒河江ダムを再訪する機会があり、おいしいダムカレーをいただくことができました。
1階フロアを探索
2階のレストランで提供されているダムカレーのことが気になりつつ、ガマンして1階部分を探索します。ダムの地元・西川町のことを紹介するスペースになっているとのことですが…
むむむっ!
またまたナゾのキャラクターが目の前に立ちはだかりました。
あれっ
もしかしたら、さっき外で見かけたのと同じキャラクター?
なんとなく「走ってるようなポーズ」も共通してるし。
「名前の由来は公募によって『カンペイ』と決まりました」
「名前の由来を公募する」って、そんなハイレベルなイベントある?
まあ、書き間違いでしょうね。
キャラクターの名前は「カンペイ」
カン=寒河江ダムの寒から
ペイ=平成の平から
いや、だから、名前じゃなくて、ベースになってる動物を教えてほしいんですけど。それはどこを探しても書いてないんですよ。
よく見たら、ヒゲがほとんど取れちゃって残り1本だけになってるし。
なんだかとっても不遇な扱い……。
ベースになってる動物のヒントになるようなものがどこかにないかと、しつこく観察していたら
おや?
おやおや?
足元の土台になってる部分…
これって月のクレーターですよね?
ヒントが得られるどころか、ますますナゾが深まってしまいました。
その昔、「月」にちなんだキャラクターがいて、その「おさがり」を使わされてるってことなんでしょうか。
しかし「月山湖」「月」「キャラクター」などのキーワードで検索してみましたが、まったく何も出てきません。よほど不遇なまま消えていったキャラクターだったのか、それとも?
気になりますねー。
「川雑魚水族館」に癒やされる
さらに建物の奥に進むと現れるのが「川雑魚(かわざっこ)水族館」…入場無料です。
「○○っこ」という言い方は東北地方や北海道でよく使われる、方言のようなもの。
めだかの水槽がありました。
ヒメダカ…かな。
おっと、絶滅危惧種も展示されていますよ。
ナマズ目ギギ科の【ギバチ】という名前の魚。北海道を除く東日本の淡水に生息している日本固有種のようです。こんな名前の魚がいたんですね、ぜんぜん知りませんでした。
これは何ていう名前の魚だったっけな。たまに説明が書いてない水槽もあって、ちょっぴりカオス。
こちらは水生昆虫の水槽です。
懐かしのゲンゴロウさん。子供の頃は、ちょいちょい田んぼで見かけたものですけどねー。
水槽のすぐ横には昔の小学校を懐かしむようなコーナーがあり、教室机に座って大噴水を見物することもできるようになっています。
普通のベンチもあるので安心してください。湖面に見えてるのが噴水関連の施設です。
売店でご当地ジュースをいただく
水族館やレストランのある建物から外に出ると、軽食や飲み物、ソフトクリームなどを提供している売店があります。
ビン入りのコーラが買える自販機も。
こちらは売店前にある井戸(それとも単なる井戸風?)。とても涼しげな雰囲気ですね。
マグカップが置いてあって、自由に水を飲むことができます。
見慣れない缶ジュースが浮いていたので、思わず買ってしまいました。1本130円。
山形ケンミンには昔からおなじみのようです。
さて、そろそろ大噴水の午後2時スタートの回が始まる時間になりました。よく見える場所に移動します。
高さ日本一!大噴水を鑑賞する
日中の「毎正午」から10分間
毎回10分間
後半に最高112mまで上ります
10分間、ずーっと112mまで上がりっぱなしなのではなく
後半に全力を出してくるようです。
噴水の動力は1000馬力のディーゼルエンジン
水が噴き上がるのは白い矢印の場所から。
毎正午になると、ブルルン!というエンジン始動音がして、フワリと黒煙が上がります。
ちなみに単なる観光目的ではなく、湖の水質を維持するための、いわゆる「曝気(ばっき)」と呼ばれる作業の一環でもあります。
原動機…1000PS ディーゼルエンジン1台
それにしても、まさか湖面にディーゼルエンジンが浮いてるとは想像していませんでした。わくわくしますよ。
それでは御覧ください
今回、10分間にわたる噴水ショーの様子を始めから終わりまで動画に収めましたが、あまりにも長すぎるので特別に
超高速の32倍速再生でお送りいたします。
月山湖・大噴水(1回10分間)を30秒にまとめた動画は、おそらく他にないと思います。せわしない動きになっている箇所もありますが、ちょっとガマンしてご覧ください。
※当サイト執筆メンバー・名波アマ(@seven_bomb)のYouTubeアカウントを使用しています。
お時間に余裕のある方のため、フルバージョン(10分ちょい)の動画も置いておきます。「10分どん兵衛」の出来あがりを待つときにタイマーとして利用すると、ちょうどよいかもしれません。
いかがでしたか?
残念ながら今回は時間の都合もあり、ダムの堤体を至近距離から捉えることができませんでした。しかし念願の大噴水をフルに堪能できたので、達成感でいっぱいです。
もしも再び訪問する機会があれば、ダムカレーも食べてみたいなと思います。あと、噴水の動画を撮る際には三脚を使うべきだということを学びました(苦笑)。
国道からのアクセスがよく、小さなお子さんでも安心して訪れることのできる観光スポットなので、ぜひ遠方にお住まいの皆さんも寒河江ダムを目指してみてください。
地図・アクセス
【マイカー・バイクで寒河江ダムへ】
山形県山形市から国道112号線経由で1時間30分前後。
山形県寒河江市から国道112号線経由で45分前後。
山形県鶴岡市から山形自動車道・国道112号線経由で1時間10分前後。
【レンタカーで寒河江ダムへ】
日本海側の「庄内空港」や「酒田市」「鶴岡市」、内陸部の「山形空港」「山形駅」「寒河江市」「天童市」など、山形県内にレンタカーの営業所多数あり。
【電車・バスで寒河江ダムへ】
JR寒河江駅から「山形交通バス」と「西川町営バス」を乗り継いで寒河江ダムまで、物理的には行けないこともありません。しかし本数が少なかったり、土日・祝日が運休だったりで(※スクールバスとしての役割があるため)、あまり現実的ではありません。もしも強行すれば「珍道中ブログ記事」が1つ書けてしまうと思います。チャレンジャー求む?
【山形空港】
・東京(羽田)
・大阪(伊丹)
・名古屋(小牧)
・札幌(新千歳)
の各空港から直行便あり
【庄内空港】
・東京(羽田)
から直行便あり
【宿泊】
山形市、天童市、鶴岡市、新庄市などにホテル・ビジネスホテル多数あり。筆者がよく泊まるのは「ホテルアルファーワン山形」「ホテルパールシティ天童」「ホテルルートイン新庄駅前」。
2017年8月現在、山形県にオールナイト営業のサウナ・健康ランドはありません。昔は山形市や酒田市にあったんですけど残念。
寒河江ダム近隣の「まんだむ」
・月山ダム…ダムカードの配布は「月山ダム管理所」で土日・祝日を含む9:00~16:30(12月~3月は平日のみ)
・山形県寒河江市…マンホールカードの配布は「道の駅寒河江チェリーランド」内の「さくらんぼ会館・入口横の観光案内所」(4月~10月は9:00~18:00、11月~3月は9:00~17:00)
・山形県天童市…マンホールカードの配布は「天童市上下水道事業所」平日の8:30~17:15
現場から以上です。
ダム大好き、ダムまっしぐらの竜ケ崎四段(@80blo_master)です