【アルペン物件探訪・北海道編】三角形を切除してもアルペンはアルペンだべ

札幌市厚別区
名波アマ
こんにちは!北海道岩見沢市出身、アルペン物件担当の名波アマです

今回は北海道のアルペン物件特集~。どの画像も筆者(名波アマ)が実際に現地で撮影してきたものばかりです。

中にはアルペン色を薄めようとして(?)三角形の部分に大ナタが振るわれた物件もありますが、そこらへんも含めてご覧ください。

 

北海道のアルペン物件状況

アルペン物件は意外に少ない

北海道はウインタースポーツのメッカなので、スキー・スノボ用品を取り扱うお店が他の地域より多いのは当然です。しかし「スポーツ用品のアルペン」は北海道から遠く離れた名古屋発祥の会社ということもあってか、道内の店舗数は思ったほど多くありません。ボクが札幌市に住んでいた頃(1985年前後)、スキー用品をよく買いに行ったのは狸小路の近くにある「札幌スポーツ館」でした。札幌スポーツ館は、あれから30年以上が経った今でも道内各地で元気に営業中です。

レルヒさん

明治時代の終わり頃、北海道にスキーを伝えたとされるオーストリアの陸軍将校・レルヒさん

スキー・スノボ人口の減少

全国的にスキー・スノボ人口が減っていると言われています。国土交通省(観光庁)の資料によると日本のスキー・スノボ人口は1998年の1800万人をピークにその後は右肩下がりで、2013年には770万人と、じつに半分以下にまで減っているとのこと。この傾向は北海道も例外ではなく、道内のスキー場の数はピーク時で142ヶ所、2017年現在では100ヶ所弱にまで減っているものと推測されます(一部、筆者調べ)。

レルヒさん

札幌市の藻岩山展望台に展示されているレルヒさん。新潟県上越市では「ゆるキャラ」に駆り出されていますが、新潟だけでなく、北海道にもスキーを伝えたとされる偉人です。――撮影:2006年2月

※レルヒさんとアルペン物件は、ほとんど関係ありません。

 

日本最北端のアルペン物件

西松屋・北見西富店

西松屋北見店

▲2017年8月撮影

北海道北見市の中心部をつらぬく国道39号線沿い、赤ちゃん用品の大手「西松屋(にしまつや)」の北見西富店です。店名の文字やマーク以外は、ほとんどアルペン時代のまんま。余計な改装費用は掛けません! といわんばかり、西松屋経営陣のコスト意識の高さが伝わってくる外観です。

西松屋北見店

北見市よりも北にある大きな街は「網走市」「名寄市」「稚内市」などですが、いずれの街にも過去、アルペンが出店した形跡が見られません。したがって日本最北のアルペン物件は、ここ北見市ということになるかと思います。

西松屋北見店

「SPORTS」の文字が、まだうっすら見えています。

ちなみに「日本最北の西松屋」はココではなく、名寄市(なよろし)の西松屋【名寄店】(北緯44度35分ぐらい)のほうになります。ちなみにちなみに、青い丸の中におさまってるキャラクターはミミちゃんという名前だそうです。この、ひねりのなさにも経営陣のコスト意識の高さが垣間見えるような気がしてなりません。いい意味で、ですよ。

 

2020年12月・追記

「西松屋北見西富店」は2018年に閉店し、2020年12月現在は「快活クラブ北見店」になっています。北見市内から西松屋が撤退したわけではなく、市内の違う場所に新たに「西松屋北見三輪店」が出店しました。

快活クラブ北見店

▲2020年12月現在の「日本最北のアルペン物件」

 

日本最東端のアルペン物件

アミューズメントパーク・スガイ釧路町

スガイ釧路町

2005年5月撮影

Wikipediaの情報によると、この釧路町の「アミューズメンパークスガイ」は2014年6月に閉店し、現在は営業していないようです。

ここよりも東に位置する根室市にアルペンが出店した形跡は見られないので、この写真の建物が日本最東端のアルペン物件ということになろうかと思います。

「スガイ」といえば、もともと北海ドーミンには「スガイ興行」の名前で親しまれてきた会社ですが、2005年にレンタルビデオ大手「ゲオ」の傘下に入り社名を「(株)ゲオディノス」に変更。さらに2014年にはゲオグループから離脱し、「健康コーポレーション(=CMで有名なRIZAPグループ!)」の傘下に入って社名を「SDエンターテイメント(株)」に変更しています。

「釧路市」のすぐとなりに「釧路郡釧路町」が存在する理由

北海ドーミンでも詳しい経緯を知らない人のほうが多い「釧路市と釧路町が隣り合わせで存在して紛らわしい問題」について、この機会に触れておかねばなりますまい。興味のない人は読み飛ばしてもらって構わないですよ。

釧路町

釧路市は人口17.5万、釧路町は人口2万。

なんだか紛らわしいし、とっとと合併しちゃえばよくね?

そう考えるのが普通です。しかし、話は簡単じゃないんです。「平成の大合併」が盛んに行われた時期にすら合併が実現しなかったのですから、これは何か、不都合な真実が隠されているに違いありません。

ことの発端は大正9年。当時の釧路町(=現在の釧路市・ややこしい)が町から区に昇格したいがために、その条件を満たすべく”手切れ金”として11万円を握らせて人口密度の低いエリアを釧路村(=現在の釧路町・ややこしい)として分離したことに始まります。総人口や人口密度などの条件を満たした釧路町(=現在の釧路市)は狙いどおり釧路区への昇格を果たすことになります(その後は釧路区→釧路市に移行、釧路村→釧路町に移行)。

しばらくは平穏な日々が続きますが、1980年代以降、両者をとりまく力学に変化が現れ始めます。釧路町の国道沿いに大型のショッピングセンターやロードサイド型の商業店舗が次々と開業していったのと対照的に釧路市の中心商店街は寂れ、シャッター通りと化していったのです。これは釧路市が地元の商店を守るため、大規模小売店舗の出店を長年にわたって規制してきたのが大きな理由の一つでしょう。

”釧路市のベッドタウン”として、じわじわ発展を続けた釧路町が1975年からの30年間で人口を2倍に増やしたのに対し、釧路市のほうは15%ほど減少(筆者調べ)。ニトリ釧路店やドン・キホーテ釧路店、スポーツDEPO釧路店、イオンシネマ釧路などは釧路市ではなく、全て釧路町のほうに出店しています。すでに紹介したように、アルペン釧路店だった建物も所在地は釧路町です。そうこうしている間に、釧路市の中心市街地からは百貨店や映画館が完全に姿を消すことになります。

実は同じように、かつて「札幌市」と「札幌村」が並存していた時代がありました。しかし昭和30年に両者が合併し、紛らわしい状況は解消されています(札幌村は現在の札幌市東区)。
釧路健康センター

ボクが2005年に利用したときの「釧路健康センター」。道東エリア唯一の「オールナイトで営業している健康ランド」として貴重な存在でしたが、やはり所在地は釧路町でした。惜しまれつつ2008年に閉館しています。

いわゆる「平成の大合併」が国策として推し進められたとき、釧路市としては「釧路町を編入して財政基盤を強化したい」という考えもあったようですが、

残念ながら釧路町が首をタテに振りませんでした。

財政的に弱体化している釧路市と合併しても、ほとんどメリットがないからです。どことも合併せず、釧路町釧路町のまま生きていくことを決めたのです。

 

小説家・池井戸潤さんの黄金パターンである、終盤の大逆転劇を思い出さずにいられません。

 

釧路市と釧路町。同じ名前の市と町が隣り合わせている珍しい状況は、これからもしばらく続くことになりそうです。

 

大ナタが振るわれた物件

ビデオMAX→GEOゲオ

厚別区

2002年4月撮影

札幌市厚別区、国道12号線沿いにあるアルペン物件。2002年に訪れた際にはレンタルビデオ店でした。まだココが普通にアルペンだった頃、ちょっとしたスキー用品を買いにきたことがあります。たしかスキーワックスとか手袋とかを買ったような気が(今となっては曖昧)。

この場所を久しぶりに訪れてみたら、あんれま~ビックリ。

 

厚別区ゲオ

2017年8月撮影

DVDやCDのレンタル・販売をしている「GEO(ゲオ)」になっていたわけですが、なんと! 三角形の上部、3分の2ぐらいがスパッと切り取られているじゃ、あーりませんか。このときは夜で分かりにくかったので、明るい時間帯に再訪問…

 

新さっぽろ

これは全国的にも珍しいアルペン物件になりました。何かを付け加えるパターンは多く見られますが、切り取るパターンはほとんど例がありません。

せっかくの居抜き物件なのに、わざわざ費用をかけて三角形部分に大ナタを振るったのはナゼなのでしょう。よほど「かつてアルペンだったこと」を隠したかったのか、あるいは物理的な理由があったのか(三角形部分の老朽化、経年劣化など)。

ひょっとすると普段は隠れていて、スイッチひとつでウィ~~ンと三角形の尖った部分がせり上がってくるシステムだったりするとか?(んなこたぁ~ない)

 

ライバル企業が入居した物件

ゼビオメンズ

ゼビオ

2005年5月撮影

札幌市清田区、国道36号線沿いの物件です。「XEBIO(ゼビオ)グループ」は福島県郡山市に本社を置く総合スポーツ用品販売の大手。「スーパースポーツXEBIO」の店舗ブランドで大型店を全国展開していて、アルペングループの「スポーツDEPO」とは思いっきりライバル関係にあります。

クセの強い三角形の部分を残したままにするのはさすがにマズイと判断したのか、長方形の看板を後づけしてアルペン色を薄めています。

さて、写真の「ゼビオメンズ」はゼビオグループの紳士服部門として一時はチェーン展開していましたが、2005年9月に、その紳士服部門を「AOKIホールディングス(上戸彩さんのCMでおなじみ)」に売却しています。

というわけで現在、写真の物件は「紳士服のAOKI」に変わっているのですが、なんと今回、痛恨の撮影ミス!

 

紳士服AOKI

2017年7月撮影

車載カメラの自動撮影に失敗しました。画面は傾いてるし、ワイパーが三角形の部分にカブっちゃってるしでダメダメ。クルマを安全な場所に置き、クルマから降りて普通に撮れば良かったんですけどね。強めの雨が降っていたので横着をしてしまったのです。

また次回、北海道に帰省したときに再チャレンジしなければなりません。

 

ベストドレッサー賞候補

イエローハット石狩街道太平店

イエローハット

2013年6月撮影

札幌市北区、いわゆる石狩街道(国道231号線)沿いに建つアルペン物件です。快晴の空に、「イエローハット」のテーマカラーである黄色がよく映えています。三角形の頂点の尖った部分にトレードマークのカウボーイハットをちょこんと乗っけるのもアリなんじゃないのかなーと考えてみたりもしましたが、それだと、さすがに「やりすぎ感」が出てしまいますかね。

アルペン物件の特徴を残しつつ、イエローハットらしさも強く感じることのできるデザイン。とてもステキな店舗になっていると思います。新たな物件が現れるまでは、暫定的にベストドレッサー賞の地区代表としてノミネートしておきます。どうか末永く、イエローハットのままでいてください。

 

帯広市のアルペン物件

ピットオフ西帯広店

ピットオフ西帯広店

青森県在住Yさん撮影の投稿写真(2011年撮影)

帯広市のカー用品販売店「ピットオフ西帯広店」ですが、ボク(名波アマ)が撮影した写真ではありません。わずかに三角形の頂上付近が欠けてしまっているのが残念です。

ピットオフ西帯広店

2018年7月撮影

読者さんの投稿から7年。ついに鮮明な物件写真を撮ることができました。

アルペン物件

見事なアルペン物件です。

ピットオフ西帯広店

車検にも力を入れているようで、コンスタントにお客さんが訪れる人気店です。

 

旭川市のアルペン物件

100満ボルト旭川永山店

100万ボルト旭川永山店

2018年7月撮影

旭川市の国道39号線沿いに建つ家電量販店「100満ボルト旭川永山店」。2012年頃に「アルペン旭川永山店」としては閉店した物件です。三角形の部分に四角い看板が付け足されているため分かりにくいですが、間違いなくアルペン物件です。

「100満ボルト」は北陸地方・福井県発祥の家電量販店ですが、2011年以降はエディオングループの一員になっています。

 

札幌市のアルペン物件その4

SHOE・PLAZA環状通東店

シュープラザ札幌環状通

札幌市東区の北16条東19丁目、環状通り沿いに建っているのがSHOE・PLAZA(シュープラザ)環状通東店です。SHOE・PLAZAは「東京靴流通センター」の店舗ブランドで知られる(株)チヨダが経営しています。

かつて(株)チヨダはロードサイド型の大型店舗「おもちゃのハローマック」も全国展開していましたが、現在は玩具販売から撤退しています。

 

名波アマ
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ABOUTこの記事をかいた人

昭和44年(1969年)4月・北海道岩見沢市生まれ/男/既婚/現在・岐阜県岐阜市在住。大学卒業後は証券会社に就職するも2年ちょいで退職。その後、太陽熱温水器や住宅リフォームの訪問販売を経由して平成12年(2000年)からフリーライターに。当サイトではアルペン・箱乗り物件のほか、オールラウンドに記事を書いていきます。