漢数字の「七」を3つ合体させた「㐂」という漢字の読みや意味については『DMMぱちタウン』内のブログ記事「七七七で何と読む?」に書きました。
↓この記事は、その延長戦みたいなものになります。
理義字と品字様
理義字(りぎじ)とは?
同じ漢字を2つ組み合わせて構成される漢字のこと。また、広く、形態が奇妙な漢字や、面白い形をした漢字のことを指す。
――Wikipediaより引用
なるほど。わかりやすいところでは「林(はやし・りん)」「羽(はね・う)」「弱(よわ・じゃく)」などの漢字を理義字というようです。また、「広く、形態が奇妙な漢字や、面白い形をした漢字のことを指す」とも書かれているので、3つ以上を合体させた漢字についても広義の「理義字」だということになりそうです。
品字様(ひんじよう)とは?
3つ組み合わせて構成される漢字は、品字様と呼ばれる。
――Wikipediaより引用
さらに「品(しな・ひん)」「轟(とどろき・ごう)」など漢字3つで構成されるものについては品字様(ひんじよう)とも呼ぶらしいです。「喜(よろこび・き)」の異体字である「㐂(よろこび・き)」も品字様ということになりますね。
「理義字」にせよ「品字様」にせよ、なぜそう呼ぶようになったのか等、由来や理由について書かれている文献は見つかりませんでした。とりあえずは、そう呼ぶものなのだと受け入れるしかないようです(にがわらい)。
理義字・品字様の一例
鑫【きん・くん・しん】
鑫の意味…(1)金銭や財産などが多いさま。多く、人名や商店の屋号に用いられる。(2)碗。円い器。
――漢字辞典オンラインより引用
なるほど。検索をかけてみたら、中華料理系のお店の名前に用いられているケースが多いようです。中国や台湾で、とても縁起が良いと考えられている漢字なんですね。
四川料理・鑫源(しんげん)…京都府京都市の四川料理店。
台湾料理・鑫鑫閣(しんしんかく)…奈良県生駒市の台湾料理店。
などなど。日本語の読みは「キン・クン」とされていますが、中国や台湾での発音は「シン」だそうです。
磊【らい・れ】
四字熟語に含まれがちな漢字ですね。
豪放磊落(ごうほうらいらく)の意味…心が広く大らかで、些細なことは気にしないこと。
磊磊落落(らいらいらくらく)の意味…心がとても広く、些細なことにこだわらずさっぱりとしていること。
――漢字辞典オンラインより引用
上記の「鑫」と同じく、店名などに使われるケースも多いようです。
おでん小料理・磊 (らい)…愛知県名古屋市の、おでん居酒屋。
などなど。石材店の屋号に使われているのは、すごく納得しました。
姦【かん・みだら・かしましい】
強姦(ごうかん)、近親相姦(きんしんそうかん)、姦淫(かんいん)、有夫姦(ゆうふかん)など、あまり良い意味では使われないイメージですね。店名や人名には使わないほうがよいとされています。
姦の意味…(1)みだら。男女間の不義。女性をおかす。「姦淫(カンイン)」「姦通」「相姦」 (2)わるがしこい。よこしま。「姦計」「大姦」 (3)かしましい。おしゃべりでうるさい。やかましい。
――goo辞書より引用
昭和の時代に大活躍した松竹芸能の女性トリオ「かしまし娘(むすめ)」も、ムリヤリに漢字で書くとすれば「姦し娘」になりますが、「おしゃべり好きな、にぎやかな」の意味で使う場合は「姦」の文字が含み持つマイナスイメージを忌避するため、ひらがな表記の一択になると思います。
驫【ひゅう・ひょう・とどろく】
驫の意味…たくさんの馬が走るさま。
――漢字辞典オンラインより引用
馬が3つで、たくさんの馬。そのままですね。
青森県の世界遺産「白神山地」の近く、西津軽郡深浦町(ふかうらまち)に「驫木(とどろき)」という地名があり、同地区にはJR五能線の「驫木駅(とどろきえき)」もあります。
出典:乗りものニュース
犇【ほん・ひしめく・はしる】
犇の意味…(1)ひしめく。押し合ってさわぎたてる。 (2)はしる。ウシが驚いて走る。
――漢字ペディアより引用
「ひしひしと感じた」などと言うときの「ひし」を漢字で書くと「犇」になるようです。知りませんでした。
石を3つ並べた「磊」の漢字が石材店の屋号に使われていたので、もしや…と思って検索をかけてみましたらば。やっぱりありました。
焼肉・犇(ひしめき)…宮崎県宮崎市の焼肉店。
理義字・品字様は見た目のインパクトがあるので、屋号にピッタリだと思います。この先、じわじわと増えていきそうな予感。
艸【そう・くさ】
艸の意味…くさ。草類の総称。くさの並んで生え出るさまを表した字。「艹(くさかんむり)」の原形。
――goo辞書より引用
( *´艸`)クスッ♪
( ´艸`)ムフフ
などの絵文字に使われがちな漢字です。将来的には「草」ではなく、「手」の形がもとになって生まれた漢字だと誤解されるようになっていったりして?
刕【しゅう・くに】
刕の意味…「州」の異体字。江戸時代よりも前の古文書においては、甲州(現在の山梨県)を甲刕、信州(現在の長野県)を信刕、奥州(東北地方の太平洋側)を奥刕と表記している例が普通にあるとのこと。また、古い石碑に刻まれている文字にも使われている例があるようです。
検索をかけてみたら、屋号として使われている例を東京で一軒だけ発見しました。
意外にも(?)、東北地方や山梨県、長野県などにおいて、この漢字を使用している屋号は見当たりません。「州」の文字のほうに、より強い愛着があるのか、あるいは、この異体字の存在がほとんど誰にも知られていないからなのか。
調べてみたら「甲州牛」「信州牛」「奥州牛」すべて実在しているようなので、それらをウリにしている焼肉屋さんの屋号に使われてもおかしくない気がしてきました。切れ味の良い刀で肉をスパンスパーンと切り分けるイメージです。そろそろ、いかがでしょ?
日本で最も画数の多い漢字は理義字・品字様
たいと・84画
総画数は【84】。「雲」3つと「龍」3つを合体させて一つの漢字です。
「たいと」「だいと」「おとど」などと読むらしいのですが、品字様on品字様とも言うべき芸術的な構成になっています。
中国から伝わってきた漢字ではなく日本で作られた国字(和製漢字)で、かつて名字として使われていたというのが通説になっていますが、「使用実態が確認できない幽霊漢字」であると、その存在を疑問視する専門家もいるようです。
これが許されるんだったら何でもアリじゃね?漢字を百個ぐらいくっつけることも可能じゃね?とクレームをつけたくなる気がしないでもありませんが、いちおう現時点では、これが「日本でもっとも画数の多い漢字」だとされています。※この字は中国や台湾には存在していません。