ボクは昭和44年(1969年)生まれなので、いわゆる「アーケードゲーム機」で遊んだのは昭和50年から昭和60年ぐらいにかけての時期になります。あの頃は、ちょっとしたショッピングセンターや商店街の文房具店の軒先など、いたるところに大小のゲームコーナーがありました(必ずしも「ゲーセン」ではない)。
今と違い、ほとんどが10円玉を投入して遊ぶタイプです。アナログ感にあふれた機械仕掛けのゲーム機たちでした。
中には子供だましの”雑なやつ”もありましたが、それでも不満を抱くことなく、繰り返し繰り返し、同じゲーム機で遊んだものです。「新台入替」なんて1年に1回あるかないかだったし(にがわらい)。
そんな、昭和の時代の懐かしいゲーム機が今もなお現役で遊べてしまうお店が静岡県熱海市にあるのをご存じでしょうか。その名も「和田たばこ店」。たばこと言いつつ、実質的には「駄菓子とゲームがメイン」のお店になっています。
では、ご覧ください~
和田たばこ店の基本情報
熱海市街地の南
熱海の海岸線沿いを走る国道135号線を南に向かい、細い路地(西行きの一方通行路)を300mほど入ったところにあります。初めて訪れる人にとっては分かりにくい場所なので、事前に地図アプリ等で目的地を設定しておいたほうがよいでしょう。
国道135号線沿い「デニーズ熱海店」のほんの少し北(信号までは行かない)から西行きの一方通行路へ。これを間違えると回り道を強いられるなど、ちょっと面倒なことになります。慎重に。
「本館」と「別館」
もともとあった店舗(たばこ&駄菓子&10円ゲーム)と、新たに設けられた店舗(エレメカ中心のゲーム専門)の2つがあります。正式な名称ではありませんが、便宜的に「本館」「別館」として紹介していきます。
駐車場
専用の駐車場は、わずかな台数分が空いていることもありますが、空いていない場合もあるので店主さんに相談する必要があります。
店舗から西に30m(一方通行路をそのまま進んですぐ)の丁字路付近にコインパーキングがあるので、そこであれば問題なくクルマを置くことができます(入庫後30分まで100円、以後60分毎に200円加算)。
和田たばこ店の北、直線距離で100mのところに熱海市が所有する観光施設「起雲閣(きうんかく=かつて別荘や旅館として使われた歴史的建造物で一般公開されている)」があり、その駐車場が無料です。起雲閣の見学(大人510円)とセットで和田たばこ店を訪れる場合、駐車場が混雑していないようであれば施設の方に一声かけたうえでクルマを置かせてもらうテもあります(観光目的の短時間限定の利用であれば声をかけず勝手に駐車しても怒られないらしいのですが、推奨はいたしません)。
バスで和田たばこ店へ
「熱海駅前」バス停から伊豆箱根バスの《清水町行き・循環》《相の原団地行き》に乗り「起雲閣前」バス停下車、所要10分前後。起雲閣前バス停から和田たばこ店までは徒歩5分程度。
営業時間
10:00~18:00
※年末年始など臨時で短縮時間営業になる場合あり。
※以前は8:30から営業していましたが、2018年3月現在は10:00~です。
所在地…静岡県熱海市昭和町4-27
営業時間…10:00~18:00
定休日…基本的になし
駐車場…あり(店主さんに要相談、週末等はコインパーキングの利用が無難)
備考…トイレなし
本館
駄菓子コーナー
充実の駄菓子コーナー。駄菓子界においては2017年に「梅ジャム生産中止」といった大ニュースが報道されたりしましたが、「ああ、あのとき買っておけば…」と後悔しないよう、気になるお菓子があったらココで購入したいですね。訪問した日も子どもたちがワイワイ言いながら駄菓子を買いに来ていました。
10円玉両替機
いきなり両替機からして懐かしいやつ。
↑「大きいダイヤル」。100円玉を入れたあと、これをグリン!と回します。
じゃららんっ
10円玉が一気に出てきました。電源を必要としない完全手動式の両替機です。さっそくゲーム機で遊びましょう。
ピカデリーサーカス
昭和51年(1976年)~製造の「ピカデリーサーカス」
超一流遊技機メーカー「コナミ」の前身となる会社が製造した、ルーレット系10円ゲーム機のパイオニア的存在。その後、マイナーチェンジを繰り返しながら色々なバージョンのマシンが登場しました。
忘れた頃に、シレッと停止する「30」。ごくごくマレに、2回連続で「30」に停止することがあって、ムキーッとなったりならなかったり。メダルがなくなるまで遊びましたね~。
ピカデリーサーカスを知らない方も知ってる方も。動画を撮ってみましたのでゼヒご覧ください。
ちなみに「ピカデリー・サーカス」はイギリスの首都ロンドンにある繁華街(広場)のこと。歌舞伎町と浅草とススキノを足して3で割ったような雰囲気の観光地です。
アクションボール
昭和52年(1977年)~製造の「アクションボール」
これも必死に遊んだ記憶あり。パチンコ玉をはじいたあと、ハンドルを回してワニの口を上下に動かし、玉をキャッチしたり放出したりを繰り返してゴールを目指すやつです。名機中の名機でしょう。
カシーン。この状態になったら、もう大丈夫。次に進めます。…よね?
ジャングル探検のイメージでしょうか。フラフラ動くカヌーのギミックが秀逸でした。単なる展示品ではなく、今でも実際に遊べるんですよコレが!
グランプリ
昭和51年(1976年)~製造の「グランプリ」
10円玉を投入し、その10円玉そのものをレバーではじいてゴール地点を目指すシステムのゲーム機。有名なのは「新幹線ゲーム」ですが、この「グランプリ」は異なるメーカーの製品です。にもかかわらずコースレイアウトがほぼ一緒なのは、なんらかの提携があったのか、それとも、あの時代特有の「ドンマイドンマイ気にすんな」的なやつなのか。
コイン投入口付近のサビや摩耗がイイ感じ。もちろんココでは現役稼働中です。
「株式会社さとみ」のブランド「Sammy(サミー)」のロゴを発見。「株式会社さとみ」は、のちにパチスロ製造販売の超大手企業「サミー」になる会社です。
A級ライセンス
昭和54年(1979年)~製造の「A級ライセンス」
「新幹線ゲーム」や「グランプリ」と基本的なシステムは同じですが、やはりメーカーが違います。スーパーカーブームの影響か、ランボルギーニやフェラーリっぽいクルマの絵が描かれています。子どもの頃、いろんな場所のゲームコーナーに置いてあったので、けっこう遊んだ記憶がありますね。
もともとの仕様では「入賞」の扱いになってたっぽい「おまけ・ピットイン」と書かれた黄色い穴のところに、むりやり「スピン(=アウト扱い)」のテープが貼られています。機械内部を改造してあるかもしれません(にがわらい)。
まったく改行する意志が見られない「うごかしたりたたいたりしたらおまけは出ません」の注意書きも気になっちゃうし、いろいろ正したい。
うまくゴールインすると→おまけが出てくる(ちなみに盤面には「賞品」て書いてある)
ピットインに入ると→おまけがもらえる(お店の人に申告する必要があった?)
「一等賞」「二等賞」みたいにしたかったんでしょうか。「新幹線ゲーム」には搭載されていない何らかの機能を付け加えることで、わずかでもオリジナリティーを打ち出したいという後発メーカーの気持ちは分からないでもないけど…。
国盗り合戦
昭和55年(1980年)~製造の「国盗り合戦」
ルールがよくわからなかったので子どもの頃は避けていたゲーム機です。遊んだ記憶はないものの、大きめのゲームコーナーに必ずといっていいほど置かれていたのは覚えてますね。おそらく、かなりのヒット作だったのでしょう。調べてみたら、これもピカデリーサーカスと同じくコナミの前身会社の製品だそうです。
ジャンケンマン・フィーバー
昭和63年(1988年)~製造の「ジャンケンマン・フィーバー」
大人のパチンコ「フィーバー機」が大流行したのが1980年以降なので、おそらくその影響を受けてのネーミング・仕様でしょう。
ジャンケンに勝つとルーレットが回り、止まった目の数のメダルが払い出される仕組み(最大20枚)。この筐体も多くのゲームコーナーで見かけたので、評判が良かったものと思われます。
「本館」には、これらのほかにもゲーム機があります。ぜひ現場でご確認ください。
別館
ちょっくらよってたら~
もともとあった「本館」のすぐとなり、2013年の夏に新しくオープンした別館「ちょっくらよってたら~」。週末のお客さんの多い時間帯以外は閉まっていることもありますが、そんなときは本館にいる店主さんに声をかければ開けてくれます。
「~たら」「~だら」は静岡弁で「~でしょ?」「~じゃない?」という意味。この看板の場合は「ちょっと寄っていかない?」という意味になります(たぶん)。
タッチ!アクション
昭和53年(1978年)~製造の「タッチ!アクション」
いわゆる「もぐら叩きゲーム」の一種。盤面に表示された数字に対応するボタンを素早く見つけ出して押し、高得点を目指します。ボタンには押し込みがなく固定されているにもかかわらず、指先で触るだけで機械が反応してくれる面白さ・不思議さもあったように思います。
昭和テイストがハンパない、なつかしいイラスト。あの頃の記憶が蘇ります。
最高30点で、20点以上獲得なら再ゲーム可能に。でも数字の位置を把握していない初回のゲームでは、たいてい「もう一度やってみよう」で終わるのがオチ。けっこうムズいっすよ。
ミニドライブ
昭和33年(1958年)~製造の「ミニドライブ」
関西精機製作所が生み出した名機中の名機。製造開始からバージョンアップを繰り返しつつ、15年間で累計2000台以上売り上げたともいわれています。
こちら和田たばこ店に置かれている筐体には「往年の名機・いまも健在1960年」と書かれたシールが貼られています。
「中間地点が大阪でなく京都になっているのは、これを作ったのが京都の人だからなんだよ」
――和田たばこ店の店主、和田さん談
10円玉投入口付近に関西精機製作所のブランド「KASCO(キャスコ)」の文字が見えてます。
コース取りが正確だと路面の凸(磁石になってる?)を感知して得点が上がっていき、500点以上獲得で再ゲーム可能。しかし、ハンドルを回しても思ったようにクルマが動いてくれないので、なかなか得点が入りません。
そして、ゲーム中に流れてくる超イケてるドライブサウンドにも注目です。ぜひ動画をご覧ください。
ゲーム中に流れる「♪二人の銀座」は1966年に発表された曲であること、そして盤面に描かれている「関門橋」の完成が1973年であることなどを考えると、和田たばこ店に置いてある筐体はミニドライブの製造期間の終盤にあたる1973~1975年頃のバージョンなのかな~という気がします。
じゃんけんピエロ
かつてゲームコーナーに行くと、どこからともなく「じゃんけんピエロ」の特徴のある音声が聞こえてきたものです。
スピーカーにスマホを近づけると正面から撮れないし、正面から撮ろうとすると音が入ってこないし。ちょっと苦労しましたが、なつかしい気持ちになること間違いなしです。ぜひ動画をご覧ください。
貴重なゲーム機や資料の数々
ここまで紹介してきたゲーム機のほか、アップライト筐体の「スペースインベーダー」や、かつて熱海の温泉街で活躍していた古いジュークボックスなどなど、歴史的価値のある貴重なものが盛りだくさん。
昭和の時代を知ってる世代はもちろん、知らない世代の人たちにも訪れてほしい場所です。実際この日も、平成生まれと思われる若いカップルが数組、ワイワイ言いながら楽しんでいましたよ。
ゲーム機の操作・遊技はていねいに
レトロゲームは皆さまの「やさしさ」で後世に残すことができます。故障・金づまりは叩かず揺すらずお店の人をお呼びください。
古い機械たちゆえ、それなりの故障や不具合は避けられません。ゲーム機で遊ぶ際はていねいな操作を心がけたいものです。