観光地の絵地図看板に描かれがちな”箱乗り物件”を紹介している「箱乗りでGO!」シリーズ。
第1弾
第2弾
長崎県・生月島
長崎県の生月島(いきつきしま)は長崎市からクルマで2時間50分。1991年完成の生月大橋で本土と繋がっています。ボクが訪問した2004年当時は通行料・往復600円が必要でしたが、その翌年から往復200円になり、さらに2010年以降は無料化されています。
生月島の観光絵地図看板その1
生月島の、どこかにあった観光絵地図看板です。正確な場所は忘れました。
島内にある、さまざまな公共施設や観光スポットの概要が描かれていたのですが…
見事な箱乗りっぷり。すぐ近くに中学校があろうと、まったくお構いなしです。
ヘッドライトの位置や頭髪のなびき具合から推測するに右から左に向かって走っているものと思われますが、運転手じゃなく、同乗者が身を乗り出してるイメージで描いたんでしょうか。
この態勢で左手にハンドルを握っていたとすればホラーかファンタジーですからね。
タイヤの位置が中央に寄りすぎているのもポイント高し。
こちらは、ためらいなく箱乗りしているヘリコプターのパイロットさん。
ローターブレードに首をちょん切られる0.01秒前の瞬間を描いている衝撃的なイラストです。
生月島の観光絵地図看板その2
先ほどと同じく、島内のどこかにあった観光絵地図看板。
南北の方向が真逆になっているだけで、基本的な内容は1枚目の看板とほぼ一緒です。
中学校の近くにクルマのイラストが描かれているのも共通しています。
この場合「オープンカーは箱乗り物件にカウントしない」というルールを適用できなくもないのですが。
左手で操作しているハンドルとフロントガラスの間に、そうとうムリな態勢で右腕を差し込ませています。無視できません。
担当した看板屋さんは、世界的に有名な不可能図形「ペンローズの階段」に匹敵するような高度なイラストをしれっと描いているのですよ。これはスゴイ。
そして、やはり。
これも、ほぼ一緒。
ヘリコプターの箱乗りです。ただし、どう見てもパイロットではありませんね。
ローターブレードに首を切られないよう、カラダを絶妙な角度に保っていますし。
あと、塗装のハゲ具合をよくよく観察してみると、赤色を塗りたい場所や緑色を塗りたい場所には、必ず最初に青い色を塗ってるっぽいんですよね。重ね塗りをしているんです。
塗装不良を防ぐための、ペンキ屋さんならではの定石テクニックがあるんでしょうか(検索してみたけど全くわかりませんでした)。
生月島の観光絵地図看板その3
「2枚目」と地図の雰囲気や広告の置き方はほぼ同じですが、南北の向きが真逆です(つまりは「1枚目」と同じ向き)。
色あせの進み具合からして、もしかすると「2枚目」より古いものかもしれません。
やはりこの「3枚目」も、「1枚目」や「2枚目」と同じく中学校の近くをクルマが走っています。
ドライバーの態勢にムリがあるのも完全に一致しています。もとになっている図が存在し、それを踏襲しているのでしょう。
しかし、ここで思考を停止してはいけません。
よくよく見てみると、指が6本あるのです。
ここまで気付けるスキルがあれば、出版社で校閲の仕事をまかされても大丈夫でしょう。
もちろん、ヘリポート付近を飛んでいるヘリコプターの箱乗りも描かれています。本来なら「(胸元の)ボタン」が描かれるべきであろう位置にある、へんな線が気になります。ヘリコプターの足(スキッド)がスピードスケート靴のブレード(刃)みたいに見えるのも高得点ですし。
文句のつけようがない(=ツッコミどころ満載の)すばらしい物件たちでございました。
長崎県・平戸島
長崎市からクルマで2時間40分、「ザ・吊橋」といった趣きの平戸大橋を渡ると平戸島(ひらどじま)に到着です。さきほどの生月島と同じく、2004年に訪問しました。
平戸島の観光絵地図看板その1
平戸島の、どこにあった観光絵地図看板だったのか。残念ながら思い出せません。
しかし、看板の枠が生月島の「1枚目」と全く同じと言っていいものなので、同じ時期に、同じ予算で発注されたものでしょう。
なんかないかな~と、いやらしい目で探してみたら…
やっぱりありますねー。
教科書に載せたくなるような、わかりやすい箱乗りです。
髪型が七三分けで、真面目な雰囲気の人なのに。
切支丹(キリシタン)資料館で、なにか人生観が変わるようなものでも見てきたんでしょうか。
ほかにも
平戸島と佐世保を1時間ほどで結ぶ高速船が描かれています。
ポニーテールでしょうか。最高速力37ノットの高速船だけに、すごい角度で浮き上がっています。
平戸島の観光絵地図看板その2
こちらは田平町(現・平戸市)の道路脇で発見した観光絵地図看板になります。厳密に言うと平戸島ではなく、その手前の本土側になるんですけどね。現在は合併で島と一体化して「平戸市」になっています。
台風かなにかの強風で鉄板がめくれ上がっていますが、ギリギリのところで生き残っています。
運転しているお母さんは、どこから顔を出しているんでしょうか。フロントガラスが抜け落ちて、伊達メガネの状態になっていると考えられなくもないイラストです。
クルマが擬人化されてニッコリ笑っているのも、よくあるパターンではあります。
長崎県・島原
島原半島・がまだすマップ
これは、島原半島のフェリー乗り場だったか、道の駅のようなところだったか。観光施設の建物の中で見かけた地図だったかと思います(さっきから記憶があいまい)。
「がまだす」=島原地方や、対岸の熊本地方の方言で、「がんばる」「精を出す」という意味らしいです。
雲仙ロープウェイに乗っている少年3人組が、仲良く箱乗りしています。この程度の控えめな箱乗りでは、教科書に載せられないですけどね。
島原鉄道の観光トロッコ列車に乗っている少年が身を乗り出しています。よく見ると車体がグニャリと曲がっていますが、画像検索で確認してみたところ、トロッコの車体が曲がっている事実はなし。普通の車両でした。
島原まゆやまロードを楽しげに走るオープンカー。
箱乗り物件の基本ルールとして「オープンカーはノーカン」と言いたいところなのですが。
何度かリハーサルをしたあとの、ここぞの本番であるかのような見事なシンクロ具合。
コレは無視できません。載せてしまいました。
熊本県・阿蘇
阿蘇ドライブマップ
南阿蘇の観光スポット「白川水源」付近に立っていた観光絵地図看板です。
この看板にも箱乗り物件が…
と思ったら。
あれれっ
あらためてよく見てみたら、ワゴン車の屋根にありがちな「サンルーフ」が描かれている可能性アリっすね。
だとしたら、これは箱乗り物件にカウントされません。
これだからプロのイラストレーターは
(チェッ)
こーれーはー… …どっちだ?
(まさのりのギャグがウケるかウケないか不安な気持ちで見守っているときの渡辺さんっぽく)
…残念
(ギャグリーチ不発)
100%箱乗り物件だ、とまでは言い切れませんでした。やはり、屋根の上に穴があいているように見えなくもないからです。プロのイラストレーターとしては物理的にありえない絵を描くことに抵抗があるのかもしれません。
沖縄県・宮古島
平良市の中心街?
東京ー宮古直行便
すご~く便利だよ!
パーマ頭のお母さん?が飛行機から身を乗り出してアピールしています。
2005年に平良市(現・宮古島市)の市街地にあるコンビニの近くで撮った看板だったかと思うのですが。
羽田ー宮古島の直行便就航が平成元年(1989年)なので、それ以降に作製された看板ということになります。その割には昭和の香りがしないこともない、古いタッチで描かれています。